📅 取材時期:2025年12月
展望台にたどり着いて、視界が開けた瞬間でした。
「すごーい!」
思わず声が出ていました。
眼下いっぱいに、入り江が広がっています。
一つや二つではありません。
細い入り江と、こんもりした島影が、幾重にも折り重なって、どこまでが陸でどこからが海なのか分からなくなっているのです。
冬の空はよく晴れていて、湾の水面が明るく光っていました。

ここは烏帽子岳展望所(えぼしだけてんぼうしょ)。
対馬の浅茅湾(あそうわん)を見下ろす場所です。
そしてこの旅では、もうひとつ、まったく違う大きさのものに何度も足を止めることになりました。
足元の岩です。
海辺の岩肌に、細い層が何十枚も重なっている。
触れると、ぽろりと崩れる。
大きく見れば入り組んだ海岸線、小さく見れば一枚ずつの層。
対馬という島は、その二つのスケールを行ったり来たりさせてくる島でした。
もともとここは、谷が刻まれた山あいの土地でした。そこへ海水が入り込み、谷だったところが細長い入り江になったと考えられています。
だから、入り江の奥は細く、両側には尾根だった部分が半島や島として残ります。上から見ると、陸と海が指を組み合わせたような形に見えるのは、そのためだとされています。
言いかえれば、いま目の前に見えている入り江の形は、海に沈む前の「谷の形」そのもの。海面の下に、かつての山あいの風景がそのまま隠れている、ということになります。
そう思って見下ろすと、あの無数の入り江が、沈んだ谷の地図のように見えてきました。
| 所在地 | 長崎県対馬市(浅茅湾を見下ろす高台) |
| 見どころ | 浅茅湾のリアス海岸を一望する大パノラマ |
| 備考 | 冬でも晴れれば明るく見渡せる |
まず、対馬という島の「位置」
話を、島に降り立った朝に戻します。
伊丹空港から福岡空港へ飛び、そこで乗り継いで対馬へ向かいました。
乗り継ぎ時間は、なんと20分。
正直、間に合うのか不安でした。
ところが到着ロビーで係の人が待っていてくれて、乗り継ぎカウンターまで案内してくれたのです。
おかげで無事に、対馬行きの便に乗ることができました。
その便は、プロペラ機でした。
小さな機体で海を渡り、降り立ったのが対馬空港です。
空港でレンタカーを借りて、走り出しました。
車窓には、山と海が交互に現れます。
道が山あいに入ったかと思えば、次のカーブで急に海が開ける。
そして湾のいちばん奥まったところに、決まって集落があります。
このリズムが、島にいるあいだじゅう続きました。
九州本土よりも、隣の国のほうが近い。「国境の島」と呼ばれるのは、この位置によります。
そして島の大部分は、海底にたまった砂と泥が交互に積み重なってできた砂岩と泥岩の互層(ごそう)からなるとされています。
砂の層と泥の層が縞模様のように重なっているのは、海底に繰り返し土砂が流れ込んだ跡だと考えられています。粗い砂が先に沈み、細かい泥がゆっくり積もる。それが何度も繰り返されて、縞になったとされています。
つまり対馬は、もとをたどれば「海の底だったもの」でできた島。この旅で何度も足を止めることになる岩は、すべてその記録でした。
隣の国が近い島、というだけの場所ではなさそうだ。
車を走らせながら、そんな予感がしていました。
あなご亭 — 対馬に来ないと食べられない、黄金あなご
島に着いてまず向かったのが、あなご亭でした。
対馬の黄金あなごを出すお店です。
店内は広くて明るく、窓から光がよく入ります。
いただいたのは、特上せいろ(中)3,800円。
先付・茶碗蒸し・お吸い物・漬物・デザート・コーヒーまで付いてきます。

先付から、いきなり良かったのです。
ごぼうの穴子巻きと、穴子入りの卵焼き。
卵焼きはうまきのようで、柔らかく、煮穴子のようにやや甘い味付けでした。
そして主役のせいろ。
想像していたより、ずっと優しい味です。
穴子というと甘辛いタレの印象がありましたが、ここのは穴子そのものの味が前に出てきます。
あなご白焼2,200円も頼みました。
これが大きい。
そしてほわほわで、口に入れると白身魚のようにほどけます。
さらに、あなご刺身2,200円。
淡白なのに、しっかり脂も乗っていて旨味があります。
皮のところが、もきゅっとした食感なのが面白い。
添えられた醤油は甘めで、とろっとしていました。
デザートは、料理長の手作りというカスタードプリン。
ブルーベリーが添えられていて、柔らかくて濃厚でした。
うれしかったのは、定食を一つしか頼んでいないのに、先付とデザートを二人分出してくださったことです。
| 所在地 | 長崎県対馬市 |
| 名物 | 黄金あなご。特上せいろ(中)3,800円、白焼2,200円、刺身2,200円 |
| 備考 | 店内は広く明るい。特上せいろは先付・茶碗蒸し・デザート付き |
お腹を満たしてから向かったのが、冒頭の烏帽子岳展望所でした。
そして展望台のあとに立ち寄ったのが、菓匠 百乃屋(もものや)です。
かすまきの専門店で、いただいたのは端っこかすまき100円。
あんこが甘すぎず、優しい味でした。
黒と白の両方が楽しめたのも、うれしいところです。
女連の立岩 — 触ると崩れる、めくれそうな岩
この旅で、いちばん忘れられない場所かもしれません。
女連(うなつら)の立岩です。
漁港の駐車場に車を停めて、そこから歩いていきます。
この日は潮が高く、残念ながら立岩の手前までしか行けませんでした。
でも、そこまでで十分でした。
岩が、すごいのです。

灰色と茶色の細かい層が、何十枚も重なっています。
しかもその一枚一枚が、すごく立体的なのです。
本のページのように、いまにもめくれそう。
そっと触れてみると、ぽろりと崩れました。
こんなに間近で地層を見たのは、初めてでした。
答えを知らないまま、そう言い合いながら岩を見ているのが、とにかく楽しいのです。
よく見ると、キラキラした白いラインが層のあいだに走っています。
波が当たるところの層は、角が取れてなめらかになっていました。
遠くから眺めていたときは、ただの大きな岩の塊にしか見えませんでした。
近づいて初めて、一枚一枚の層が見えてくる。
このスケールの切り替わりが、面白くてたまりませんでした。
砂の層と泥の層は、粒の大きさも、固まり方も違います。泥の層は細かい粒が薄く重なってできているため、その面に沿って割れやすいと考えられています。
だから、力が加わると層の境目でぺりぺりと剥がれ、本のページのように見えるのです。
触れただけで崩れたのは、海のすぐそばで波しぶきや風雨にさらされ、表面がもろくなっていたためだとされています。
波が当たり続ける部分だけがなめらかになっていたのも、同じ理由です。硬い砂の層は残り、もろい泥の層が先に削られていく。そうして凹凸ができ、削られ方の差がそのまま岩肌の表情になっていると考えられています。
足元にも、見どころがありました。
浜一面に、平たい丸石が敷き詰まっているのです。
どれも角が取れて、つるりとしています。

もとは、あの崖から剥がれ落ちた層の破片なのでしょう。
それが波にもまれて角を失い、平たい石になって浜に並んでいる。
崖と浜が、ひとつづきの話としてつながって見えた瞬間でした。
このとき、まわりには誰もいませんでした。
冬の平日、波の音だけが響く浜で、二人で岩を眺めている。
ぜいたくな時間でした。
| 所在地 | 長崎県対馬市(女連漁港のそば) |
| 駐車場 | 漁港の駐車場に停めて歩く |
| 見どころ | 間近で見られる砂岩・泥岩の互層。浜の平たい丸石 |
| 注意 | 潮が高いと立岩まで近づけない。岩はもろく、足元も滑りやすい |
異国の見える展望台 — 見えたのは、船か、ビルか
対馬の北端近くまで走って、異国の見える展望台へ向かいました。
名前のとおり、条件がよければ韓国が見えるとされている場所です。
結論から書きます。
見えませんでした。

手前の海は濃い青で、遠くに対馬北端の山なみが横たわっています。
その先の水平線は、白く霞んでいました。
備え付けの双眼鏡をのぞいてみます。
何かが見えるのです。
でも、それが船なのか、韓国のビルなのか、判断がつきません。
船らしきものの向こうに、塔のような細いものが立っているようにも見えました。
結局、正体は分からずじまいです。
分からないまま帰るのも、それはそれで悪くありませんでした。
とにかく寒い展望台でした。
ただ、こんな場所なのにトイレがあって、水もちゃんと通っています。
島の端まで人の手が行き届いていることに、少し感心しました。
| 所在地 | 長崎県対馬市(島の北部) |
| 駐車場 | 展望台に駐車場あり。トイレもある |
| 見どころ | 対馬海峡の眺め。双眼鏡が設置されている |
| 注意 | 冬は風が強く寒い。対岸が見えるかは天候次第 |
もう一か所、韓国展望所にも寄りました。
こちらも、やはり見えません。
そのかわり、展望所の建物の形がかわいらしくて、思わず写真を撮ってしまいました。
この日の宿は、東横INN対馬比田勝です。
夕食にカレーのサービスが付いていて、島の北端でこれはありがたい限りでした。
殿崎の朝 — 「ざぱーん」ではなく「どーん!」
二日目は、朝の散歩から始めました。
殿崎国定公園の、キタタキロード殿崎コースです。
空を見上げると、とんびがたくさん飛んでいました。
輪を描くように、何羽もゆっくり回っています。
遊歩道を奥へ進むにつれ、道はだんだん細くなっていきます。
そして気づきました。
両側から、波の音が聞こえるのです。
岬の先端に向かって歩いているのだから、当然といえば当然です。
でも、その音が想像と違いました。
「ざぱーん」ではないのです。
「どーん!」という爆音でした。
岩に当たった波が、体に響いてきます。

朝日が海面に反射して、光の道ができていました。
波の音の合間には、鳥の声も聞こえます。
朝の散歩が、こんなに楽しいとは思いませんでした。
| 所在地 | 長崎県対馬市(島の北部の岬) |
| 駐車場 | 遊歩道の入口に駐車場あり |
| 見どころ | 岩礁に砕ける波の音と朝日。とんびや鳥の声 |
| 注意 | 奥に進むほど道が細くなる。歩きやすい靴で |
網代の漣痕 — タイルみたいな模様は、さざ波の跡
朝の散歩のあと、南へ向かいました。
目当ては、網代(あじろ)の漣痕(れんこん)です。
海際まで降りて、思わず声が出ました。
「すごいすごい!」
手前の平らな岩の面に、亀甲状の模様がびっしり広がっているのです。
タイルを敷き詰めたようにも見えます。
そして左奥には、細かい層が並んだ岩壁。
まったく違う二つの表情が、同じ場所に並んでいました。

ここでも岩は剥がれそうでした。
というより、実際に剥がれます。
大きな岩の下に、黒い破片が散らばっていました。
パッと見ると、ただの石ころです。
でもよく見ると、上の岩から剥がれ落ちてきたものでした。
水が、とても綺麗です。
浅いところは底まで見通せて、岩の模様が水越しに揺れていました。
あのタイルみたいな模様は、いったい何なのでしょう。
波の跡なのかな、と話しながら見ていました。
砂の底に水が行き来すると、表面に細かな波形の凹凸ができます。その上に次の土砂が積もって蓋をすると、凹凸が押しつぶされずに残ることがあると考えられています。
やがて砂は固まって岩になり、模様も一緒に固定されます。目の前にあるのは、遠い昔のある日の水の動きが、そのまま石になったもの、ということになります。
そしてもうひとつ不思議なのは、海底にできた模様が、なぜいま地表で見られるのかということ。地層が固まったあと、地殻変動で持ち上げられたり傾いたりして、地表に現れたと考えられています。
だから同じ場所に、平らな面と、立ち上がって層が並んで見える壁の両方があるのです。動かされた向きが違うだけで、もとは同じ海底の地層だとされています。
同じ日、五根緒(ごねお)の石塔にも立ち寄りました。
途中の道が工事で通行止めになっていて、迂回する羽目になりました。
たどり着いてみると、ここにも網代と同じような、タイルっぽい岩がありました。
やっぱり波の化石のように見えます。
島のあちこちで、同じ模様に出会うのが面白いところでした。
| 所在地 | 長崎県対馬市 |
| 駐車場 | 近くに駐車スペースあり |
| 見どころ | 亀甲状の漣痕が広がる平らな岩面と、層の並ぶ岩壁 |
| 注意 | 海際の岩場。濡れた面は滑る。岩は剥がれやすい |
途中、琴(きん)のイチョウにも寄りました。
葉はすっかり散っていましたが、幹がとにかく大きい。
昔、雷に打たれて中が空洞になっているのだそうです。
それでも、この木は生きています。
空洞のまま立っている姿に、生命力というものを見た気がしました。
西漕手・小船越 — ミルフィーユのような岩と、船が浮かぶ入り江
次に向かったのは、西漕手(にしのこいで)です。
小船越(こふなこし)と呼ばれる場所にあります。
ブラタモリで見て、いつか行きたいと思っていました。
まず目を奪われたのは、やはり岩でした。

水平な層が、きれいに積み重なっています。
ミルフィーユ、という言葉がそのまま浮かびました。
女連では層が立体的にめくれていましたが、ここでは整然と横に並んでいます。
同じ砂と泥の層でも、場所によってこんなに表情が違うのだと驚きました。
そして、入り江です。

水面が、鏡のように静かでした。
まわりの山がそのまま映り込んでいます。
水があまりに澄んでいるので、浮かんでいる小舟が、水の上ではなく空中に浮いているように見えました。
停泊している船のなかには、イカ漁船もありました。
船体にイカ墨の跡が付いていて、ここが漁の島でもあることを思い出させてくれます。
| 所在地 | 長崎県対馬市(小船越) |
| 駐車場 | 近くに駐車スペースあり |
| 見どころ | 水平に積み重なった層の岩壁。鏡のような入り江 |
| 備考 | 漁港が近く、イカ漁船が停泊していることも |
万関展望台 — 陸が、こんもりと重なっている
小船越から少し走って、万関(まんぜき)展望台へ。
ここからの眺めが、また良いのです。

こんもりとした緑の半島が、幾重にも重なっています。
奥へ行くほど色が淡くなって、遠近がはっきり分かります。
烏帽子岳では俯瞰でリアス海岸の全体を見ましたが、ここでは横から見ている感じでした。
同じ地形でも、見る角度が変わると印象がまるで違います。
陸のかたちが、なんだかかわいらしく見えるのが不思議でした。
なお、展望台の下を通る万関瀬戸は、上島と下島のあいだを人の手で開削した水路とされています。
| 所在地 | 長崎県対馬市(上島と下島の境) |
| 駐車場 | 展望台の近くに駐車場あり |
| 見どころ | 入り組んだ湾と、幾重にも重なる緑の半島 |
| 備考 | 下を万関瀬戸が通る |
肴や えん — 捨てられていた魚が、こんなにおいしい
二日目のお昼は、肴や えんへ。
ここで、この旅でいちばん考えさせられる食事に出会いました。
まず注文したのが、そう介のメンチカツ定食1,090円です。
このメンチカツ、イスズミという魚で作られています。
イスズミは、海藻を食べ尽くしてしまう食害魚だと聞きました。
食べてみると、弾力があって、しっとりしています。
揚げ物なのに、油っぽさや重たさがまったくありません。
続いて、アイゴフライ単品780円。
こちらもアイゴという食害魚です。
臭みがなく、旨味がしっかりある。
アジよりも身がしっかりしていて、食べごたえがありました。
もう一品、丸徳鯖の刺身980円もいただきました。
自社養殖の鯖を、その日の朝に水揚げしたものだそうです。
旨味と弾力があり、身が肉厚でもっちりしています。
厄介者とされる魚も、朝どれの鯖も、どちらもおいしい。
海のそばで食べる、というのはこういうことなのだと思いました。
| 所在地 | 長崎県対馬市 |
| 名物 | そう介のメンチカツ定食1,090円、アイゴフライ780円、丸徳鯖刺身980円 |
| 特徴 | 海藻を食べる食害魚(イスズミ・アイゴ)を使った料理を出す |
鮎もどし自然公園 — 天然のウォータースライダー
お腹を満たして、島の南部へ向かいました。
鮎もどし自然公園です。
着いてすぐ、また声が出ました。
「すごーい!」
白っぽい一枚岩の上を、川が薄く流れているのです。

砂利も泥もありません。
岩がむき出しのまま、川床になっています。
水の膜が、つるつるした岩の上を滑るように流れていきます。
天然のウォータースライダーのようでした。
ところどころに、丸く凹んだところがあります。
これは甌穴(おうけつ)かな、と話しながら覗き込みました。
ところが島の南部には、花崗岩(かこうがん)が分布するとされています。花崗岩は、地下深くでマグマがゆっくり冷え固まってできた岩だと考えられています。
層になった堆積岩と違い、花崗岩には積み重なりの筋がありません。だから割れ目に沿って剥がれることも少なく、大きな一枚岩のまま残りやすいとされています。
鮎もどし自然公園の川床が、砂利ではなく岩そのものになっているのは、そのためだと考えられています。
くぼみにできる甌穴(おうけつ)は、岩のくぼみに入った小石が水の流れで回転し、長い時間をかけて岩を削ってできる穴とされています。小石が水の力で回り続けるだけで、硬い岩に丸い穴があく。気の長い話です。
歩いていくと、途中で岩の様子が変わるところがありました。
境目を境に、川の表情まで変わります。
その先は流れがゆるやかになり、川幅も広くなっていました。
同じ川なのに、足元の岩が変わると、水の流れ方まで変わる。
対馬の二日間で見てきたことが、ここで小さくまとまっているような気がしました。
| 所在地 | 長崎県対馬市(島の南部) |
| 駐車場 | 公園に駐車場あり |
| 見どころ | 一枚岩の川床を流れる川。丸く削れた甌穴 |
| 注意 | 濡れた岩はとても滑りやすい。増水時は近づかないこと |
最後に、内山峠(うちやまとうげ)展望台にも立ち寄りました。
ここも眺めが良い場所です。
案内によると、尾根筋をずっと歩いていけるのだそうです。
次に来るときは、その道を歩いてみたいと思いました。
遠くの入り江と、手のひらの層
一泊二日の対馬でした。
思い返すと、この島でしていたことは、ずっと同じでした。
遠くを見て、足元を見る。
烏帽子岳から見下ろした無数の入り江。
万関から見た、幾重にも重なるこんもりした半島。
そのどちらも、もとは山あいの谷だった場所に海が入り込んでできた地形だとされています。
いっぽうで、女連の岩肌に重なっていた何十枚もの層。
網代の岩に残っていた、さざ波の模様。
小船越の、ミルフィーユのような岩壁。
こちらは、海の底にたまった砂と泥の記録だと考えられています。
大きな地形の話と、手のひらほどの岩の話。
見ているスケールはまるで違うのに、どちらも「海」が主人公なのです。
そのことに気づいたとき、島の見え方が少し変わりました。
食べたものも、よかったのです。
対馬に来ないと食べられない黄金あなご。
捨てられていたはずの魚で作った、驚くほどおいしいメンチカツ。
100円の端っこかすまき。
朝の岬で聞いた、どーん!という波の音も忘れられません。
韓国は、結局見えませんでした。
双眼鏡の向こうにあったのが船だったのか、ビルだったのかも分からないままです。
でも、それでいいのだと思います。
分からないものを前にして「これ何だ?」と言い合っている時間が、この旅でいちばん楽しかったのですから。
地質情報の参照: 産総研地質調査総合センター「地質図Navi」、国土地理院地形図 /「〜とされている」「〜と考えられている」と記した箇所は、学術的に確定した情報ではなく通説・推定を含みます。