📅 取材時期:2024年11月
沖のほうでは、波がざぱーん、と白く砕けていました。
ところが、岩の列のこちら側は、うそのように静かです。
水は透き通っていて、底までよく見えます。
海のなかに、尖った岩がまっすぐ一列に並んでいる。
その列が、まるで防波堤のように波を止めているのです。
どうして、こんなふうに岩が並んだのでしょうか。
そしてこの二日間、私たちは岩ばかり見ることになりました。
見上げるほど巨大な一枚の岩、穴だらけの岩、岩壁を落ちる滝。
ばらばらに見えたそれらが、じつは一本の線でつながっていたと知ったのは、旅の終わりのほうでした。
止まった特急と、マグロレアカツ
串本(くしもと)へは特急で向かいました。
パンダ柄の車両です。
ところが途中で人身事故があり、電車が止まってしまいました。
遅れは、およそ1時間20分。
おやつを食べたり、ゲームをしたりして過ごしました。
串本駅でレンタカーを借りて、まずはお昼です。
お目当てだったかつお茶漬けの「料理 萬口」は、改装で臨時休業でした。
それで向かったのが、レストラン空海です。

マグロレアカツセット、1,700円。
これが、ふわふわでした。
外の衣はサクサクで、中のふわふわの身がスッと溶けていきます。
ソースも良い感じで、刺身より食べやすいかもしれません。
ここに来たらこれ、と言いたくなる一皿でした。
妻は、ソースの塩味がちょっと強めに感じたそうです。
もうひとつ頼んだ三種盛海鮮丼(1,800円)は、正直なところ微妙でした。
マグロの赤身と中トロ、和歌山しらすの丼なのですが、ご飯は酢飯ではなく、しらすも赤身もぼそぼそしていたのです。
このお店では、マグロレアカツを頼むのが正解のようです。
| 所在地 | 和歌山県東牟婁郡串本町鬮野川 |
| 食べたもの | マグロレアカツセット 1,700円、三種盛海鮮丼 1,800円(訪問時) |
橋杭岩 — 海のなかに、岩が一列
そして、冒頭の橋杭岩(はしぐいいわ)です。
道の駅くしもと橋杭岩に車を停めると、もう目の前でした。

すごい、と声が出ました。
この日は干潮で、手前には岩がごろごろ転がる磯が現れていました。
その奥に、尖った岩が橋の杭のように並んでいます。
列の外側は波が荒いのに、内側は穏やかで、透き通っていて綺麗でした。
近くを歩き回る場所というより、眺める場所です。
そこは少し残念でしたが、やっぱり来て良かったと思いました。
もともとここには泥が固まった地層(泥岩)があり、その割れ目にマグマが入り込んで固まったと考えられています。こうしてできた板のような岩を岩脈と呼びます。
そのあと、まわりのやわらかい泥岩は波に削られ、硬いマグマの部分だけが杭のように残ったとされています。
割れ目に沿って固まった岩なので、まっすぐ一列になる。大小約40の岩が、約850mにわたって並んでいるそうです。
手前の磯に転がっている岩は、過去の大津波で運ばれたものと考えられています。
橋杭岩のあとは、うすかわ饅頭 儀平の橋杭店にも寄りました。
生地は薄いのにふわっとしていて、なめらかなこしあんがたっぷり入っています。
皮はツヤっとしていて、肉まんの皮の表面のようです。
あんこは丁寧な仕事だと感じました。
感想は、二人で分かれました。
| 所在地 | 和歌山県東牟婁郡串本町鬮野川 |
| 駐車場 | 道の駅の駐車場を利用 |
| 見どころ | 一列に並ぶ岩と、内側の穏やかな海。干潮時は岩の転がる磯が現れる |
潮岬観光タワー — ひたすら、海
次は、本州最南端の潮岬(しおのみさき)へ。
潮岬観光タワーに上りました。
入場は一人300円です。

海です。
ひたすら、海。
水平線が丸く見えました。
ただ、ここまで回ってみて、ひとつひとつのスポットがあっさりかも、という話にもなりました。
眺めて、なるほど、と言って、次へ行く。
そういう場所が続いていたのです。
その印象は、次の場所でひっくり返りました。
| 所在地 | 和歌山県東牟婁郡串本町潮岬 |
| 入場料 | 300円/人(訪問時) |
| 見どころ | 本州最南端からの太平洋。丸く見える水平線 |
古座川の一枚岩 — この大きさは、写真では分かりません
海を離れて、古座川(こざがわ)をさかのぼります。
道の駅 一枚岩 monolith に着いて、車を降りました。
でっっっか、と思いました。

川の向こう岸が、まるごと一枚の岩なのです。
このすごさは、写真では分かりません。
迫力がすごくて、私は圧倒されて写真を撮り忘れそうになったくらいでした。
川の水はとても綺麗です。
ただ、意外に流れは速いのです。
高さ約100m、幅約500m。
火山活動でできた岩だとされ、国の天然記念物になっています。
この日は、ここが一番良かったです。
実際に行かないと分からない良さでした。
| 所在地 | 和歌山県東牟婁郡古座川町相瀬 |
| 駐車場 | 道の駅の駐車場を利用 |
| 見どころ | 川の対岸にそびえる一枚の岩壁。国の天然記念物 |
虫喰岩 — この穴、どうやってできたの?
一枚岩のあと、牡丹岩(ぼたんいわ)の前で車を停めて、写真だけ撮りました。
穴ぼこだらけの岩です。
そして、もっと穴だらけなのが、道の駅 虫喰岩(むしくいいわ)でした。

写真で見るより、スケール感がすごいのです。

近くで見ると、蜂の巣のようでした。
岩の表面が風化して、蜂の巣状の穴ができたものとされています。
こうした穴はタフォニと呼ばれ、ここも国の天然記念物です。
それでも、一枚岩が一番すごかったかな、というのが二人の結論でした。
| 所在地 | 和歌山県東牟婁郡古座川町池野山 |
| 駐車場 | 道の駅の駐車場を利用 |
| 見どころ | 蜂の巣状の穴におおわれた岩壁。国の天然記念物 |
串本旬彩 おおはし — シマアジと梅まだい
夕食は、串本旬彩 おおはしへ。
開店10分後に入れたのですが、そのあとどんどん人が入ってきました。

本日のお造り盛り合わせ(小)、1,800円。
とびうお、かつお、キハダまぐろ、しまあじ、こめかみ、梅まだいの六種です。
とびうおはあっさり。
キハダまぐろは肉厚でもっちり、少し筋っぽさがありました。
こめかみは薄いピンク色で、コリコリしています。
特に良かったのは、しまあじと梅まだいです。
しまあじは良い脂と旨味があるのに、あっさり美味しい。
梅まだいは表面を少し炙ってあって、身がしっかりしていて旨味がありました。
串本のもずく(500円)は太くてしっかりしていて、酢も美味しかったです。
梅まだいの揚げびたし(900円)は、表面サクッと中ふわふわで、野菜も優しい味でした。
ただ、感動したのは刺身のほうです。
赤紫蘇と柚子のジュース(500円)は、柚子の香りで紫蘇の味。
紫蘇ジュースが苦手だった私にも飲みやすい一杯でした。
柚子味噌の焼きおにぎり(250円)は表面パリパリで、妻は好きだと言っていました。
とはいえ、このお店は当たりでした。
このために来るほどではないけれど、串本に来るならおすすめしたいお店です。
| 所在地 | 和歌山県東牟婁郡串本町串本 |
| 食べたもの | 本日のお造り盛り合わせ(小)1,800円、串本のもずく 500円、梅まだいの揚げびたし 900円 ほか(訪問時) |
| 備考 | 開店直後から次々に席が埋まった。早めの来店が安心 |
メルキュール和歌山串本リゾート&スパ — 窓の向こうに、朝の橋杭岩
宿は、メルキュール和歌山串本リゾート&スパです。
2024年4月にリブランドオープンしたホテルで、部屋が広いのが嬉しいところでした。
ラウンジでは、カフェオレやジンジャーエールと一緒に野菜チップスをつまみました。
ゴーヤのチップスは後味が苦くて、おもしろい味です。
夜のバータイムには、梅酒のソーダ割を。
大浴場は広くて、のんびりできました。
湯上がりの有田みかん甘酒が美味しかったです。
そして、翌朝です。

部屋の窓から、海と橋杭岩が見えるのです。
早朝の海と橋杭岩は、すごく綺麗でした。
朝食会場は、開始5分前にはもう行列ができていました。
| 所在地 | 和歌山県東牟婁郡串本町サンゴ台 |
| 良かった点 | 広い部屋と、窓から見える海と橋杭岩。ラウンジ、大浴場 |
| 備考 | 朝食は開始前から行列ができていた |
那智の滝 — 遠くから、もう音がする
二日目は、那智(なち)へ向かいました。
大門坂駐車場に車を停めます。
無料の駐車場です。
そこから大門坂(だいもんざか)を歩きました。
熊野古道の石畳と、杉並木の坂道です。
熊野那智大社、青岸渡寺の三重塔と進んで、那智の滝へ。

まだ距離が離れているうちから、すごい音がしていました。
落差は133m。
一段の滝としては、落差日本一とされています。
ただ、正直な感想も書いておきます。
近くまでは行けず、観光地という感じが強かったのです。
私は、滝壺まで近付ける滝のほうが好みです。
高さはあるのですが、周りが広すぎるのかもしれません。
それでも、この滝にはひとつ、面白い話がありました。
那智の滝が落ちている岩壁は、その火山活動に関わる岩だとされています。
そして、前の日に見た橋杭岩も、古座川の一枚岩も、虫喰岩も、いずれも同じ時代の火山活動に関わる岩だと考えられています。
海に並ぶ杭のような岩、見上げるほどの一枚の岩、穴だらけの岩、そして滝の岩壁。
形はまったく違うのに、もとをたどると同じ時代のマグマに行き着く、ということになりそうです。
帰りは、滝前からバスで大門坂まで戻りました。
| 所在地 | 和歌山県東牟婁郡那智勝浦町那智山 |
| 駐車場 | 大門坂駐車場(無料)を利用 |
| 歩き方 | 大門坂の石畳を歩いて熊野那智大社・青岸渡寺・那智の滝へ。帰りは滝前からバスで大門坂へ戻れる |
和か家のお滝もち — もちが、餅
滝からの帰り道、焼きたての餅に惹かれて、ふらっと入ったのが和か家でした。
これが当たりだったのです。

お滝もちは、焼きたてで出てきます。
団子や求肥ではなく、もちが、ちゃんと餅です。
あんこには粒が残っていました。
自分たち用のお土産にも買いました。
個包装で、1週間ほど日持ちするそうです。
帰宅してからトースターで焼いたら、お店より良い焼き具合になりました。
ところが、欲張って本数を増やして焼いたら、爆発しました。
焼きすぎ、ダメ、絶対です。
食べ終わるころには、帰りのバスの時間もちょうど良い感じになっていました。
| 所在地 | 和歌山県東牟婁郡那智勝浦町那智山 |
| 名物 | 焼きたてのお滝もち。お土産用は個包装 |
ゴトビキ岩 — 急な石段の上の、大きな岩
那智から新宮(しんぐう)へ移動して、神倉神社(かみくらじんじゃ)に寄りました。
ここのご神体が、ゴトビキ岩です。
源頼朝の寄進と伝わる、538段の石段を登ります。
これが、急斜面の岩の階段でした。
登りきった先の岩は、とにかく大きかったです。
そして、疲れました。
| 所在地 | 和歌山県新宮市神倉 |
| 注意 | 538段の石段は急で、足場は岩。歩きやすい靴が安心 |
桑ノ木の滝 — 那智の滝より、良かったのでは
最後に向かったのが、桑ノ木(くわのき)の滝です。
滝へ向かう途中の川が、まず綺麗でした。

仁淀ブルーのような、澄んだ色です。
そこから歩いていくのですが、これがかなり大変でした。
那智の滝は、バスで近くまで行けます。
こちらは、自分の足で行くしかありません。

苔むした岩の奥に、滝が落ちていました。
勢いがすごいのです。
滝が近いですし、雰囲気も良かったのです。
歩くのは大変でしたが、私の好みはこちらでした。
| 所在地 | 和歌山県新宮市相賀 |
| 見どころ | 道中の澄んだ川と、苔むした岩の奥に落ちる勢いのある滝 |
| 注意 | 滝までの道のりは歩きごたえがある。歩きやすい靴で |
さんま姿寿司を持って、帰りの列車へ
新宮駅の前で、徐福寿司 駅前店のさんま姿寿司を買いました。
頭からしっぽまで、まるごと一匹。
見た目のインパクトがあります。
帰りの列車で食べました。
さんまは美味しいのですが、味は薄めで、お米の比率が高めです。
もう少し肉厚だと嬉しかった、というのが正直なところでした。
予定より早い列車に変更して、帰路につきました。
振り返ると、行きの電車が止まったところから始まった旅でした。
それでも、二日間でずいぶん回れたものです。
一日目は、ひとつひとつがあっさりかも、と思っていました。
その印象を変えたのが、古座川の一枚岩です。
写真を撮り忘れそうになるほどの大きさは、いまもはっきり覚えています。
有名な那智の滝より、歩いてたどり着いた桑ノ木の滝のほうが心に残った。
そういう、行ってみないと分からない順位も、この旅の収穫でした。
マグロレアカツのふわふわ、しまあじと梅まだい、焼きたてのお滝もち。
食べたものも、当たりもあれば、微妙なものもありました。
そして、海に並ぶ岩も、川辺の巨大な岩も、滝の岩壁も、同じ時代のマグマにつながっているらしいということ。
知らなくても楽しめる景色ですが、知ってから朝の橋杭岩を思い出すと、少し見え方が変わります。
岩と滝と海を、二日間でしっかり満喫した旅でした。